座談会御書「阿仏房尼御前御返事)」2024年(令和6年)12月度

〈御 書〉

御書新版 1730㌻14行目~16行目
御書全集 1308㌻4行目~5行目

〈背 景〉

今回拝読する御書は「阿仏房尼御前御返事」です。
佐渡流罪中、大聖人を命をかけて御守りし、強盛な信心を貫かれた阿仏房の尼御前、すなわち妻の千日尼に、建治2年、大聖人55歳の時に送られたお手紙です。

拝読する前に阿仏房ご夫妻についてお話しします。
ご主人の阿仏房は、元は念仏者でしたが流罪中の大聖人に問答を挑んで敗れたことをきっかけに、妻と共に門下になったと伝えられています。
同じように門下となった国府入道夫妻、一谷入道夫妻らと力を合わせ、命をかけて流罪中の大聖人を御守りしました。食糧のない中を、真夜中に櫃(ひつ)を背負い給仕の誠を尽くされます。念仏者や役人の目に止まると追放や入牢です。阿仏房ご夫妻も追放され家をとられ罰金を科せられました。それでも阿仏房ご夫妻や国府入道夫妻は恐れなかった。ある時は大聖人の身代わりになろうとしたとも言われています。師匠の分まで自分が難を受けたい!そういう心だったのです。大聖人は「いつの世であっても絶対に忘れることはありません」と仰せです。師も弟子も「苦労は我が身に」と支えあったのです。
大聖人が赦免になり、身延入山してからも、佐渡の地から二十日以上かかる身延の大聖人のもとへ、高齢を押して三度に渡り登山を果たし、大聖人よりご本尊を賜っています。
佐渡から主人を送り出し、主人の留守を守った千日尼に対しても、「一緒に登山されたことと同じですよ」と激励されています。
阿仏房は、弘安2年3月21日に亡くなりました。その遺骨は子息の藤九郎盛綱によって、身延に埋葬されました。阿仏房亡き後も千日尼はもとより子や孫、曾孫たちも立派にその信仰を継承し、大聖人滅後も一族は日興上人を師事して、佐渡の法華講衆形成に貢献しました。

さて今回拝読する御書の冒頭では、千日尼が、かつて念仏を信仰していたことの害毒について質問しています。正法に目覚め真剣に信仰に励むようになると、過去の謗法の怖さを知って不安を覚えたのでしょう。これに対して大聖人は、「法華経は一切衆生が皆成仏出来る法であり、強盛な信心を貫いていけば、必ず成仏出来る」と激励されています。そしてそのためには、謗法を放置せずに、堂々と仏法の正義を語っていくことが大事であるとご指導されています。その実践の具体的方法を教えているのが今回拝読する御書です。では本文を拝読いたします。 

 

〈本 文〉

いよいよ信心をはげみ給うべし。
仏法の道理を人に語らん者をば男女僧尼 必ずにくむべし。
よしにくまばにくめ 法華経、釈迦仏、天台、妙楽、伝教、章安等の金言に身をまかすべし。
如説修行の人とはこれなり。

〈通 解〉

ますます信心に励んでいきなさい。
仏法の道理を人に語っていく者を在家の男女、出家の僧尼、すなわちあらゆる人が必ず憎むに違いない。
よし、憎むなら憎むがよい。法華経、釈迦仏、天台、妙楽、伝教、章安などの金言に身をまかせなさい。
如説修行の人とは、こういう人をいうのである。

〈講 義〉

いよいよ信心に励んでいきなさい。と力強く激励されます。そして、具体的な実践として折伏、仏法対話を貫くように仰せです。
折伏をすると大きな反発をうけ迫害を受けることを承知の上で大聖人は折伏戦を貫かれました。「よしにくまばにくめ!」との一言には一切衆生の成仏のためにどんな艱難・辛苦も恐れずに如説修行を貫くとの大聖人の悠然たる大慈悲が拝されます。
千日尼自身も折伏をし、理不尽な中傷も受けたでしょう。大聖人はそのことも全部ご承知の上で千日尼を大きく包み込まれていると拝されます。
続く御文では法華経、釈迦仏等の名をあげられ、その金言に身を任せることの大切さを教えられています。法華経の会座で地湧の菩薩に託された「大難を恐れずに妙法を弘通していく」との実践を貫くようにとの励ましです。その実践の人こそ如説修行の人と仰せなのです。

ここで恐縮ですが、私自身の如説修行の体験をお話しさせて下さい。
2002年6月、当時私は支部婦人部長をしておりました。圏(ゾーン)より「支部でブロック1の折伏をしていこう。」との打ち出しが出たのです。折伏が苦手な私は、一歩踏み出す勇気がありませんでした。そんな時、開いた聖教新聞に掲載されていた人間革命!
吹雪の中、道なき道をソリに乗り勇敢に折伏に走る草創期の北海道の同志の姿が書かれていました。私はただただ池田先生に申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになり涙が止まりませんでした。その日から祈り動き語る毎日に変わりました。我が支部は、高齢の方が多く活動家も少ないのですが、生命が変わると多宝会の方たちの存在が有り難く感謝に変わりました。何より不思議なことは、折伏が楽しくてたまらないのです。その日も歓喜の中の大歓喜の座談会を開催出来ました。
その同じ日、2002年7月11日、たった一人の兄が自ら命を絶ってしまいました。祖母、父、そして兄までも念仏の生命を断ち切れなかった! 当然悔しさ・悲しさもありましたが、同時に、その日の私は、不思議な位あふれる力を抑えることが出来ませんでした。
「負けてたまるか!」
他宗の僧侶の都合がつかず、葬儀は一週間後になりました。翌7月12日から折伏を開始、我が支部は少数精鋭で見事にブロック1の折伏を勝ち取ったのです。迎えた葬儀の日、雨が上がった実家の前に広がる海の向こうに、今まで見たことのない綺麗な二重の虹が、かかりました。
その瞬間兄の成仏を確信しました。そして、その年の11月23日、入会だけだった母が、ついにご本尊様を頂くことが出来ました。

年は移りこの夏。須田春夫氏が出版された「創価学会教学要綱の考察」を読ませて頂きました。前文だけで須田さんの並々ならない覚悟と使命感に圧倒されました。3代会長が死守して来られた正しい教学を、身延教学にも劣る内容にまで捻じ曲げた欲塗れの現執行部。 
「絶対許せない!」
私に折伏精神の火が着くのに時間は必要ありませんでした。この折伏の凄いのはノルマも報告もないことです。そして、かつての如説修行の人を本物の如説修行の人が折伏するという前代未聞の折伏だということです。
早速10冊購入し、恩ある同志に手紙を添えて送りました。もちろん返事はありません。近くに住む婦人部幹部は、本を見るなり「他の家は、回らないでよ!」と何回も言われました。公明票が減ると思ったのでしょう。
先月末には、私を折伏して下さった方に会いに主人に運転をして貰い埼玉に行ってきました。須田本を真っ先に送った一人です。私が組織を解任された頃は、一時険悪な感じになりましたがお互い尊敬しています。今では、「お昼ご飯作って待ってるからね」。そんな関係に戻っています。生の対話は、楽しいに尽きます。彼女も長い間幹部をやっているのでプライドもあるのでしょう。でも、全部話せたことで折伏してくれた恩を返すことが出来たと思います。心は、満足です!。これからも命ある限り
「憎まば憎め!」との気概で如説修行の人を貫きます。

最後に池田先生の青年の詩より私の大好きな詩をご紹介して終わりたいと思います。 

完全にちかい如説修行のわれらにとって
三障と三類の難事があることは 論をまたない
もはや その現象なきところのものは
死せる宗教であり 偽善の行者である
ゆえに われらは誇り高く
柔和と忍辱の駒を進める
使命に生きる元気な笑顔の君達の実在がある限り
ひとつの岩が大波を押し返すが如く
少数精鋭の偉大な連帯となっていることを忘れまい
虚飾と装飾の世界にあって
われらは 熱烈たる人間本質の波を 再び起こしたい

以上です。ありがとうございました。

御書講義 動画サイト

創価の森

12月度座談会御書履歴

座談会御書 「松野殿御消息」2000年(平成12年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(此経難持御事)」2001年(平成13年)
座談会御書 「高橋入道殿御返事」2002年(平成14年)
座談会御書 「可延定業書」2003年(平成15年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(衆生所遊楽御書)」2004年(平成16年)
座談会御書 「妙一尼御前御消息」2005年(平成17年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(源遠流長御書)」2006年(平成18年)
座談会御書 「新池殿御消息」2007年(平成19年)
座談会御書 「祈祷経送状」2008年(平成20年)
座談会御書 「檀越某御返事」2009年(平成21年)
座談会御書 「上野尼御前御返事(烏竜遺竜事)」2010年(平成22年)
座談会御書 「可延定業書」2011年(平成23年)
座談会御書 「檀越某御返事」2012年(平成24年)
座談会御書 「乙御前御消息(身軽法重抄)」2013年(平成25年)
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座談会御書 「新池殿御消息」2015年(平成27年)
座談会御書 「檀越某御返事」2016年(平成28年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(此経難持御事)」2017年(平成29年)
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座談会御書 「兄弟抄」2019年(平成31年)
座談会御書 「妙密上人御消息」2020年(令和02年)
座談会御書 「聖愚問答抄」2021年(令和03年)
座談会御書 「新池殿御消息」2022年(令和04年)
座談会御書 「日妙聖人御書」2023年(令和05年)

12月の広布史

池田先生 小説『人間革命』の執筆を開始
1964年(昭和39年)12月2日

■創価のルネサンス33
つれずれの語らい
〝執念〟が〝金字塔〟を生む
恩師の故郷―厚田での語らい

■池田大作全集第136巻
随筆 人間世紀の光P225
勝利に舞いゆく沖縄
人間革命の〝大光〟で平和の世界に

■池田大作全集第22巻P304
私の履歴書
小説『人間革命』