座談会御書 聖愚問答抄 2021年(令和3年)12月度

御書

御書全集498㌻8行目~10行目

〈本 文〉

されば一遍此の首題を唱へ奉れば一切衆生の仏性が皆よばれて爰に集まる時我が身の法性の法報応の三身ともにひかれて顕れ出ずる是を成仏とは申すなり、例せば篭の内にある鳥の鳴く時空を飛ぶ衆鳥の同時に集まる是を見て篭の内の鳥も出でんとするが如し。

〈通 解〉

 それゆえ、一度この妙法蓮華経を唱えれば、全ての衆生(生あるもの)の仏性が呼ばれ、ここに集まるとき、自身の法・報・応の三身もともに引かれて顕れます。これを成仏といいます。例えれば、かごの中の鳥が鳴くとき、空を飛ぶ多くの鳥が同時に集まります。これを見てかごの中の鳥も出ようとするようなものです。

〈講 義〉

 本抄は文永2年、1265年大聖人が44歳の頃の御述作とされていますが、本文中の内容から文永5年の著作とも推察されます。
 対告衆はについては不明ですが、本抄の後半に愚人自ら身分を明かし、「我は弓箭に携わり兵杖をむねとし未だ仏法の真味を知らず」とあるので、武士を対象とした御書と考えることが出来ます。
 本抄は上巻と下巻に分かれており、上巻では様々な宗教者がこぞって愚人の所に来ては「自分の宗教が正しい、他の宗派は間違っている」と。その愚人は何が正しくて、何が間違いなのかがわからなくなり、その真意を見つけるべく旅に出ます。その旅の道中で法華経を受持した聖人に出会います。
 題号の「問答抄」とは、この愚人と聖人の対話からつけられたものであります。
その中で、聖人は「他の宗派は、皆悪道に落ちる因となる」と説き、法華経のみが釈尊の真実の経典であると説きます。上巻では、浄土宗と真言宗を破折します。下巻では、禅宗を破折し、法華経こそ一切衆生の成仏の道であることを説き、次第に妙法に帰依していく姿が見られます。

 冒頭の「されば」で始まりますが、前述で、今ひとつ法華経こそが真実であることを理解しない愚人に対して、極めて厳しく「妙法蓮華経は一切衆生の仏性である。すなわち、釈迦、多宝、十方の諸仏から、一番下の地獄の炎の底まで、一切衆生が備えている仏性を妙法蓮華経である」と糾弾されています。
 本文では妙法蓮華経の五字を一遍でも唱えることにより一切衆生の仏性が皆呼応し即身成仏すると説かれます。つまり、私たちが御本尊に向かって唱題することによって、一切衆生が皆呼ばれて題目を唱える自身の元に集まり、自身の中の仏性(法報応の三身)もそれに呼応して顕われてきます。
 このような成仏観はそれまでの仏教、すなわち、爾前経を根本としてきた考え方を根底から覆すものであります。これまでの、小乗、権大乗の仏教が、「成仏」の意味を「仏に成る」とし、凡夫の身からかけ離れた特別なものに成っていくこととしていたのに対し、日蓮大聖人の仏法では、「仏と成く」、つまり、もともと、凡夫の身に備わっている仏の命(法・報・応の三身)を、自分の内から開いていくことが成仏の意味であるとしました。私たちが、友の為、社会の為に唱える題目には限りない可能性を秘めた力があります。
 私が男子部の駆け出しの頃、先輩に悩みを相談に行きました。その先輩は「じゃあ飲みに行こうと誘ってくださり、ずっと私の話を聞いてくれました。親身になって話を聞いてくれるその先輩に、元気と勇気をいただきました。数日後、その先輩の携帯電話が止まり、連絡が取りにくい日がありました。別の先輩から聞くと、ご自身がされていた商売がうまくいっておらず、財布の中に入れていたなけなしの携帯代を、私を激励するために使ってくださいました。一人のメンバーを一生懸命激励するその先輩の姿を今でも脳裏に焼き付いています。
 池田先生は、この「聖愚問答抄」の講義の中で、『人類に「仏性」という最極の生命がある。この宝を顕し出す妙法を御本仏は明かされた。創価の対話は、一人一人の仏性を信じ、輝き光らせる地涌誓願の挑戦だ。あらゆる差異を超え、分断から結合へ進む平和の道である。題目を唱え、友と語らう声で、十界互具の地球上に仏界を強め広げゆこう!』、あります。
 これからも目の前にいる人の仏性を信じ、お題目を送れる人材になって参ります。

■御書講義 動画サイト

https://www.youtube.com/watch?v=85BCsoILA2E&t=36s

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創価の森

12月度座談会御書履歴

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12月の広布史

池田先生 小説『人間革命』の執筆を開始
1964年(昭和39年)12月2日
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小説『人間革命』