座談会御書「日妙聖人御書)」2023年(令和5年)12月度

〈御 書〉

御書新版1681㌻6行目~8行目
御書全集1215㌻18行目~1216㌻1行目

〈背 景〉

・文永9年(1272年)、日蓮大聖人51歳の御時、佐渡一谷(いちのさわ)から日妙聖人に与えられた御書。日妙聖人は、鎌倉在住の婦人の信徒であった。
・日妙聖人は、娘の乙御前を連れて、大聖人を求めて佐渡を訪れたことに対し、その深い信心を称えられ、日妙聖人の法号を授けられた。
・楽法梵志、釈迦菩薩、雪山童子、薬王菩薩などの死身弘法の修行と功徳を述べられ、佐渡を訪れた尼の信心をほめて日妙聖人の法号を与えられた。
・その日妙聖人を「日本第一の法華経の行者の女人」と述べられている。

〈本 文〉

我ら具縛の凡夫、たちまちに教主釈尊と功徳ひとし。彼の功徳を全体受け取る故なり。経に云わく「我がごとく等しくして異なることなし」等云々。法華経を心得る者は釈尊と斉等なりと申す文なり。

〈通 解〉

私たち煩悩に縛られた凡夫が、たちまちに教主釈尊と等しい功徳を具えるのである。それは釈尊の無量の功徳を受け取るからである。経文(方便品第二)には「一切の衆生を自分と同じ仏にして、異なることがないようにしたい」等とある。法華経を心得る者は、釈尊と全て等しいという文である。

〈講 義〉

末法において妙法を受持すれば、仏と全く等しい境涯を開くことができるとの大確信を示された一節です。
今回の拝読範囲の直前で日蓮大聖人は、釈尊が過去世に積み重ねてきた修行による功徳が全て「妙」の一字に納まっており、末代悪世の衆生も、この「妙」の一字を持てば、釈尊の全ての功徳を受け取ることができると仰せになっています。
それゆえに今回の御文の冒頭で、「私たち煩悩に縛られた凡夫も、本来その生命の奥底に釈尊と同じ優れた境地、功徳を具えているのだ」と、教えられています。

続いての御文
経に云わく「我がごとく等しくして異なることなし」等云々。
これは法華経方便品第二にある「如我等無異」の経文です。
「我がごとく等しくして異なることなし」一切衆生の内面に自身(釈尊)と同じ仏の境涯(仏界)を開かせてあげたい、との仏の誓願であり大願です。
こんなに有難い法門が他にあるでしょうか。

別の御書で「久遠実成の釈尊と皆成仏道の法華経と我ら衆生との三つ全く差別無しと解りて妙法蓮華経と唱え奉るところを、生死一大事の血脈とはいうなり、此の事但日蓮が弟子檀那等の肝要なり法華経を持つとは是なり」(P1337)とあります。
「如我等無異」であるからこそ、大聖人と御本尊と妙法を唱えていく我々衆生との間に差別が無いのです。差別が無いということは、我々の生命は宇宙大である御本尊と同じ働きがあり、いかなる困難も乗り越え全ての願いをも叶えていくことができるのです。

続いて
法華経を心得る者は釈尊と斉等なり
「法華経を心得る者は釈尊と斉等なり」法華経を心得る者とは法華経を経文通りに自行化他の実践をする人のことです。
自ら「創価学会仏」と名乗り、三宝を変え、自らを僧宝に仕立て上げた「原田学会執行部」のことではありません。
池田先生の指導通りに自行化他の実践をしている「自活」の私たちのことです。
私たち池田門下が仏と同じ大境涯を得て幸福を勝ち取っていくことが先生への報恩の戦いです。またそれ自体が広宣流布であり、先生の正義を宣揚することだと思います。

ここで先生の講義を引用させて頂きます。
(2009.3.7 「御書と師弟」より)
牧口先生と戸田先生は、三類の強敵と戦い抜かれ、広宣流布の指揮を執られるご境涯において、一体不二であられました。弟子を自分と同じ境涯に、いな、自分以上の立派な人間に育てたい――。これが師の願いです。弟子を思う師の慈悲は、天空よりも高く、大海よりも深い。弟子が思っている以上に、幾千万倍も高く深いものです。その師の期待に、何としてもお応えするのだ――そう一念を定めて、祈り戦う弟子の生命には、師と等しい力が湧き出てきます。この「師弟不二」こそ、仏法の根幹です。

ー中略ー

ここに仰せの「如我等無異」とは、法華経方便品第二の経文です。「我ここに仰せの「如我等無異」とは、法華経方便品第二の経文です。「我が如く等しくして異なること無からしめん」(法華経130㌻)と読みます。
釈尊が、弟子たちを自身と全く等しい仏の境涯に高めるという誓願を果たされた、という金言であります。
大聖人は〝この経文にある通り、教主釈尊と同じ功徳を受けられるのですよ、だから安心しきって信心に励んでいきなさい〟と日妙聖人を力強く励ましておられるのです。
法難の獄中で仏法の真髄を悟達された戸田先生は、ある会合で、信心の功徳に満ちあふれた体験発表を喜ばれながら、愉快そうにこう話されました。
「さきほどの体験にあるような功徳は、まだ功徳の内に入りません。私の受けた功徳をこの講堂一杯とすれば、ほんの指一本ぐらいにしか当たりません」
もっともっと大功徳を受けられるんだよ、とのお心でした。ご自身が仏法を行じ抜いて得た無量無辺の大功徳を、全学会員に一人残らず、等しく実感させたい――これが先生の祈りであられたのです。
「如我等無異」という思想は、古今東西の思想・宗教の中でも、まことに革命的な人間主義の大哲理です。万人を皆、仏と等しい存在に高めていく――そう宣言しきれる教えが、他にどこにあるでしょうか。
大事なのは、民衆です。民衆は目的です。手段ではない。その民衆を手段にして利用しようとするのが、権力の魔性です。そうではなく、民衆を目的とし、すべてを、民衆の幸福のために、民衆奉仕の方向へ持っていくのが、仏法の心です。そのための究極の力が「如我等無異」の妙法なのです。
「如我等無異」の根本には、「師弟不二」の精神があります。この師弟の精神が忘れ去られてしまえば、仏は民衆と隔絶した特別な存在へと権威化されてしまう。インドから中国、日本へ流伝するうちに、真の仏教が衰退していった一因もここにあります。
法華経の真髄を行ずる日蓮仏法は、こうした宗教史の宿命を打破する希望の法理であります。
「彼の功徳を全体うけとる故なり」。すなわち、仏が長遠の時間を経ながら、無量の修行によって得た大功徳、その大境涯の全体を、妙法を持つ私たちはわが生命に「忽に」受け取ることができるのです。
戸田先生は言われました。
「御本尊と大聖人と自分自身とが区別がないと信じて、そのありがたさを心にしみて感謝申し上げながら、題目を唱えゆくことです。その時、宇宙のリズムと我がリズムは調和し、宇宙の大生命が我が生命と連なり、偉大な生命力が涌現してくるのです」
ゆえに、いかなる人生の苦難にも打ち勝てないわけがない。幸福にならないわけがないのです。戸田先生は「強盛に信行学に励めば、いつまでも悩める凡夫でいるわけがない」とも指導されておりました。創価の友は、必ず仏に等しい生命の光を放っていけるのです。

ー中略ー

今、世界中が不況です。どこの国も大変であり、日本も同様です。その中で、学会の同志は真剣に奮闘されています。厳寒の天地でも、離島や山間部でも、妙法流布に懸命に進んでくださっている。災害に見舞われた地で、友を励ましながら、歯を食いしばって社会に貢献してきた方々も大勢おられます。
わが同志の皆様方は、仏の「如我等無異」の慈悲を万人に伝えゆく大闘争を繰り広げておられる。それは、いわば「皆を勝利者に」という社会を築いているのです。断じて負けてはいけない。必ず「変毒為薬」していける信心です。「仏法は勝負」です。断固として勝ち越えていただきたいのです。
インドの初代首相ネルーは強調しました。
「仏陀が言ったように、真の勝利とは、敗北というもののない、すべてのものの勝利なのだ」(黒田和雄、斎藤春樹訳)
女性未来学者のヘンダーソン博士も、「皆が勝者となる世界」というビジョンを提唱されています。私との対談集(『地球対談 輝く女性の世紀へ』)でも、この目標について語り合いました。
 弱肉強食を繰り返してきた人類の歴史を転換し、皆が勝者となる二十一世紀を!と—―。
 そのためには、庶民が力を持つことです。庶民が向上することです。庶民が希望に燃えることです。そして、庶民が団結することです。
仏の称号の一つが、まさにこの「勝者」であります。ヒマラヤの如き最高峰の大勝利者の境涯に、万人を導くことこそ、釈尊、日蓮大聖人が貫かれた「如我等無異」という仏法の大理想です。そして、これこそが創価の師弟の精神なのです。

御書講義 動画サイト

創価の森

12月度座談会御書履歴

座談会御書 「松野殿御消息」2000年(平成12年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(此経難持御事)」2001年(平成13年)
座談会御書 「高橋入道殿御返事」2002年(平成14年)
座談会御書 「可延定業書」2003年(平成15年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(衆生所遊楽御書)」2004年(平成16年)
座談会御書 「妙一尼御前御消息」2005年(平成17年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(源遠流長御書)」2006年(平成18年)
座談会御書 「新池殿御消息」2007年(平成19年)
座談会御書 「祈祷経送状」2008年(平成20年)
座談会御書 「檀越某御返事」2009年(平成21年)
座談会御書 「上野尼御前御返事(烏竜遺竜事)」2010年(平成22年)
座談会御書 「可延定業書」2011年(平成23年)
座談会御書 「檀越某御返事」2012年(平成24年)
座談会御書 「乙御前御消息(身軽法重抄)」2013年(平成25年)
座談会御書 「法華証明抄」2014年(平成26年)
座談会御書 「新池殿御消息」2015年(平成27年)
座談会御書 「檀越某御返事」2016年(平成28年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(此経難持御事)」2017年(平成29年)
座談会御書 「高橋殿御返事」2018年(平成30年)
座談会御書 「兄弟抄」2019年(平成31年)
座談会御書 「妙密上人御消息」2020年(令和02年)
座談会御書 「聖愚問答抄」2021年(令和03年)
座談会御書 「新池殿御消息」2022年(令和04年)

12月の広布史

池田先生 小説『人間革命』の執筆を開始
1964年(昭和39年)12月2日

■創価のルネサンス33
つれずれの語らい
〝執念〟が〝金字塔〟を生む
恩師の故郷―厚田での語らい

■池田大作全集第136巻
随筆 人間世紀の光P225
勝利に舞いゆく沖縄
人間革命の〝大光〟で平和の世界に

■池田大作全集第22巻P304
私の履歴書
小説『人間革命』