座談会御書「崇峻天皇御書(三種財宝御書)」2024年(令和6年)1月度

〈御 書〉

新版御書 1596㌻7行目~10行目
御書全集 1173㌻14行目~16行目

〈本 文〉

「中務三郎左衛門尉は、主の御ためにも、仏法の御ためにも、世間の心ねも、よかりけり・よかりけり」と鎌倉の人人の口にうたはれ給へ。あなかしこ、あなかしこ。蔵の財よりも身の財すぐれたり、身の財より心の財第一なり。此の御文を御覧あらんよりは、心の財をつませ給うべし。

〈全体大意〉

四条金吾より様々な御供養と共に、富木殿からの手紙が添えられて送られてきたことへの返状です。
恐らく主君より御勘気を受けたその後の、金吾を取り巻く現況が報告されたものと思われ、それに対する懇切丁寧なご教示がなされています。  
冒頭、主君江馬入道殿が疫病に倒れたことを歎かれて、たとえ『法華経』をご信用無き主君であっても、その恩恵によって生活をし信心もできているのであるから、今こそしっかりと主君を支えるべきであること、更に主君の病は、窮地にあった金吾を十羅刹女が助けんが為に起こしたものであると心得るようご指導されています。宗祖は、この二ヶ月前の建治三年七月の「四条金吾殿御返事」において、江間氏が金吾に対して不当な迫害を続けるのであれば必ず主法罰を受けるであろうと予見されており、主君の病はまさしくその現証でもありました。しかし、本状ではそのことには触れず、どこまでも謙虚に主君に仕えることで新たな勝利の局面を生む道理を説かれています。

そして、主君が病床に伏している機に乗じ、敵の暗躍が激しくなることを危惧された大聖人は金吾に対し、「敵も二人ある者をばいぶせがり候ぞ。」とされ、弟たちを味方にして兄弟で結束し、短気な性格を厳に戒め、表情や態度、服装などにも細心の注意を払い些細なことでも敵につけ入る隙を与えないよう事細かに注意を与えられています。加えて、主君の屋敷への出入りや自邸にいる際も用心を怠らず、夜陰に乗じて敵に狙われる恐れがあるため夜廻りの殿原たちを味方につけておくよう指示されます。

これらを箇条書きにしてみますと、

一、同僚から敵と狙われていることを自覚して、それを回避する為にも兄弟の結束を固めること。
二、主君の容態などを問われても、自分では力役不足ですと謙虚な態度で応ずべきこと。
三、出仕の行き帰りや自宅においては用心しなければならないこと。
四、世をはかなんで遁世の思いなど起こしてはならないこと。

などこまごまと具体的に指示されています。

宗祖は特に兄弟の結束を促されていますが、諸御書によれば、金吾には兄一人、弟二人の三人の男兄弟がおり、金吾は次男坊だったようです。「種々御振舞御書」には「左衛門尉兄弟四人、馬の口にとりつきて」と、竜口法難の際に四条金吾兄弟四人が駆けつけたことを記しており、本状にはその時の行動によって所領を没収されていることが示されています。その後は、兄は竜象房になびいて、金吾を讒言する側に立っていたようです。そのため金吾はその兄に腹を立てていたようですが、大聖人は「短気を起こさず、兄弟がしっかり語り合って和解し、一致団結すべく努力する」よう指導されています。そしてその結果を報告するよう念を押されています。最後に崇峻天皇が短気によって身を滅ぼした故事を示されて、この度の一件を解決する鍵は、ひとえに金吾の短所である短気を抑えられるか否かにかかっているとし、不軽菩薩のごとく「心の財第一」と心得て精進するよう教示されています。
このように金吾の性格を見抜き、具体的な生活指導をされる大聖人のお姿に、池田先生時代の学会指導が思い起されます。ただただ信仰をたよりにして祈るだけではなく、道理にかなった行動をすることが即ち仏法であると教えられているのです。

〈本 文〉
百二十まで持ちて名をくた(腐)して死せんよりは、生きて一日なりとも名をあげんことこそ大切なれ。

中務三郎左衛門尉は、主の御ためにも、仏法の御ためにも、世間の心根も、よかりけり、よかりけりと、鎌倉の人々の口にうたわれ給え。あなかしこ、あなかしこ。蔵の財よりも身の財すぐれたり、身の財より心の財第一なり。この御文を御覧あらんよりは、心の財をつませ給うべし。

「主の御ため」― 国法 ― 主
「仏法の御ため」―仏法 ― 師
「世間の心根」― 世法 ― 親

蔵の財 < 身の財 < 心の財
×「財務力」→ 〇「心財力」

「不軽菩薩の人を敬いしはいかなることぞ、
教主釈尊の出世の本懐は人の振舞ひにて候ひけるぞ」

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1月度座談会御書履歴

座談会御書 「妙密上人御消息」2000年(平成12年)
座談会御書 「一生成仏抄」2001年(平成13年)
座談会御書 「上野殿御返事(正月三日御書)」2002年(平成14年)
座談会御書 「経王殿御返事(土餅供養御書)」2003年(平成15年)
座談会御書 「崇峻天皇御書(三種財宝御書)」2004年(平成16年)
座談会御書 「妙密上人御消息」2005年(平成17年)
座談会御書 「諫暁八幡抄」2006年(平成18年)
座談会御書 「高橋殿御返事」2007年(平成19年)
座談会御書 「聖愚問答抄」2008年(平成20年)
座談会御書 「呵責謗法滅罪抄」2009年(平成21年)
座談会御書 「三三蔵祈雨事」2010年(平成22年)
座談会御書 「日女御前御返事(御本尊相貌抄)」2011年(平成23年)
座談会御書 「一生成仏抄」2012年(平成24年)
座談会御書 「種種御振舞御書」2013年(平成25年)
座談会御書 「大悪大善御書」2014年(平成26年)
座談会御書 「曾谷殿御返事」2015年(平成27年)
座談会御書 「諸法実相抄」2016年(平成28年)
座談会御書 「一生成仏抄」2017年(平成29年)
座談会御書 「顕仏未来記」2018年(平成30年)
座談会御書 「大悪大善御書」2019年(平成31年)
座談会御書 「阿仏房御書(宝塔御書)」2020年(令和02年)
座談会御書 「四条金吾殿御返事(梵音声御書)」2021年(令和03年)
座談会御書 「持妙法華問答抄」2022年(令和04年)
座談会御書 「諸経と法華経と難易の事」2023年(令和05年)
座談会御書 「崇峻天皇御書(三種財宝御書)」2024年(令和06年)

1月の広布史

SGIの日
1975年(昭和50年)1月26日

■新・人間革命第21巻「SGI」の章

■池田大作全集第130巻
 随筆 新・人間革命2 「SGI]の出発

■池田大作全集第135巻
 随筆 人間世紀の光 「SGI」の尊き使命

■広布第二章の指針 第6集 昭和50年池田会長講演
 IBL第1回世界平和会議「中道哲学こそ平和の基調」