【投書】『私の人生観』旧版と新版の比較

投書者:創価大学30期 上野 大一
2026年7月16日、『私の人生観 選集』が聖教新聞社より発刊された。
1970年10月に出版された池田先生書き下ろしの『私の人生観』の再編版である。発刊の報に接し、「なぜ、56年も経った後に、再版ではなく 『選集』という形で出版されたのだろう」と思った。
1970年といえば、言論・出版問題が勃発した年だ。そして、1968年の『日中国交正常化提言』をはじめ、池田先生が積極的に社会に対して意見を発信し、広範な言論戦を展開されていた時期でもある。そして、その中で池田先生は、ご自身の政治に対する考え方や、諸外国に対する認識などについて、明確に語られておられた。
旧版の『人間革命』には、池田先生のそのような思想が随所に綴られている。しかし、『人間革命』ワイド版第二版を確認すると、そうした記述が、かなりマイルドな表現へと変更されているのが分かる。
そのような経緯を踏まえ、今回の『私の人生観 選集』についても、単なる再版ではなく「選集」とされたことには、何か意味があるのではないかと感じた。例えば、『私の人生観』の目次には、「戦争・平和・政治」という項目があり、これなどは、もしかしたら、旧版と新版で、表現が変わっているのではないかと思ったのだ。
そこで、早速、1970年に発刊されたオリジナル版と、今回の『私の人生観 選集』の両書を取り寄せ、実際に内容を比較してみた。
その結果、私が確認した限り、【32か所の変更】を確認した。
オリジナル版の発刊からは56年近くが経過し、社会情勢や時代背景も大きく変化している。そのため、今日の読者に合わせて表現を改めることについては、理解できるものもある。
しかし、中には、単に文章の表現を現代的に整えたという範囲を超え、池田先生が当時示されていた思想や認識そのものを、現在の読者に対して異なる形で伝えることになりかねないものもあるように感じられたのも事実である。
私は専門家ではないが、ここで、「著作者人格権」について簡単に触れておきたい。
池田先生の著作物ついて、現在、誰がどのような権利を有してしるのか、その具体的な権利関係について私は知る由もない。しかし、出版物のクレジットを見る限り、創価学会が何らかの形で、池田先生の著作権の管理・承継に関わっているものと推察される。
著作権法第59条では「著作者人格権の一身専属性等」を定め、「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない」と定めている。
著作権と著作者人格権は別の権利であり、著作権を譲渡・承継した者が、著作者人格権そのものを取得するわけではない。
さらに、著作権法第60条は、著作者が亡くなった後についても、「著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為」を原則として行ってはならない旨を定めている。
もっとも、同条には、「その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない」とする例外も設けられている。
したがって、今回確認した32か所の変更について、そのすべてが著作権法上問題となると断定することはできない。変更の内容や程度、社会的事情、さらには池田先生が生前にどのような意向を示していたのかなど、個別に検討する必要があるからである。
今現在、これらの変更について、池田先生に直接確認することは、誰にもできない。
そして、これらの変更が、誰の、どのような意図によって、なぜ行われたのかについても、今回の「選集」には、私が確認した限り、編集部による具体的な説明や注記は見当たらない。
今回確認した改変の主なものは、原文にあった特定の文章の削除である。
その中には、単なる表現上の修正とは言い切れず、池田先生の思想や認識について、読者に異なる印象を与える可能性を否定できないものもある。
そのため私は、『私の人生観 選集』におけるいくつかの改変について、著作権法第60条との関係で、著作者人格権に関する問題が生じる可能性もあるのではないかと、疑問を呈するものである。
もちろん、その法的な判断を私自身がここで下すものではないし、そのような立場でもない。
ただ、少なくとも、池田先生のご逝去後、そのご著作が先生の意向を確認できない状況で変更され、しかも、その変更について具体的な説明がないのであれば、その内容について読者が検証することには意味があると考える。
そこで以下に、実際に変更された箇所のうち、特に重要であると考えた14か所を提示する。
これらが単なる時代に合わせた表現上の修正なのか、それとも池田先生の思想・哲学の伝わり方にまで影響を及ぼすものなのか。
その判断は、これをお読みになる方々に委ねたいと思う。
私は、ただ、池田先生が示された思想・哲学を、時代の変化によって安易に変えることなく、まっすぐに受け継いでいきたいと願うものである。
創価大学30期 東京都 荒川区在住 上野 大一
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比較はこちらのリンクのPDF版をご確認ください:
https://drive.google.com/file/d/1j5JrnO2OVl9zJzdzhYnKQ6XclznxVgmM/view?usp=sharing
