座談会御書「減劫御書(智慧亡国書)」2021年(令和3年)8月度

御書

減劫御書
御書全集1466㌻13行目~15行目

〈本 文〉

法華経に云く「皆実相と相違背せず」等云云、天台之を承けて云く「一切世間の治生産業は皆実相と相違背せず」等云云、智者とは世間の法より外に仏法を行ず、世間の治世の法を能く能く心へて候を智者とは申すなり

〈通 解〉

法華経法師功徳品19には「皆実相と相違背せず」とあり、法華経を信受し実践し抜いた人が説く世間の事柄は仏法には違背しないと説かれている。
天台はこれを受けて「この一切世間の生活や社会で起こることは、みな実相に違背しない」と言っている。

智者とは、世法と仏法を切り離して行ずるのではなく、世法を心得て行動を起こしている人のことを言うのである。

〈講 義〉

本抄は、執筆年代ははっきりとはしておりませんが内容から推察するに建治2年(1276年)頃、駿河国(現在の静岡県中部)の高橋六郎兵衛入道が亡くなられその縁者に送られたものであり、身延で認められたお手紙と考えられます。

題号にある「減劫」とは、人々の心の内の貪瞋癡(貪り・瞋り・癡か)の三毒が盛んになるにしたがって、人間の生命力が衰えてくる時期のことを指します。

本抄御執筆当時、蒙古襲来がまた起こるのではないか(1度目は1274年/文永の役)との不安や恐怖が国中に広がり、幕府が仏教の各宗派に調伏の祈祷を命じ、当時の人々もすがる思いだったことでしょう。日本国中が大きく闇に包まれた状態となり、まさに貪瞋癡の三毒に支配された世相でした。

そのような世相の本質を、日蓮大聖人は、

仏教では三毒を克服するためにさまざまな教え「大善の智慧」が説かれたが、末法においては三毒が一層強盛になり「大善の智慧」を凌ぎ「悪の智慧」が蔓延る。

その原因は、釈尊の教えだと信じながらその実は肝心の「万人の成仏」「民衆救済」という仏意を見失っているからであり、仏法の智慧を生かし弘め、民衆と社会を蘇生させる力を失っているからである。

このような末法の世を治めるには「大覚世尊の智慧のごとくなる智人」と「仙予国王のごとくなる賢王」が協力して、皆が正しいと思っている行為を止めさせ、世論を悪へ誘導する悪僧の正体を見破り徹して戦い、仏教本来の「人間主義」を取り戻すことで、いま起こっている事態を解決することができる。

と示されます。

そして、正嘉の大地震や蒙古襲来などを通し大聖人自身が末法の真の智者(智人)であると示唆された上で、このようなときこそ「智人」と「賢王」が協力し、悪を滅し善を興隆させることができる「大悪は大善の来たるべき瑞相なり」との大確信を述べられます。

最後に、逝去した故・高橋六郎兵衛入道について、遺族への温情を記されて本抄を結ばれております。

智者と賢王は

本抄で、日蓮大聖人が末法の真の智者であるとの大確信を拝し、拝読御書範囲を拝読しながら改めて「智者・智人」について再確認したいと思います。

法華経に云く「皆実相と相違背せず」等云云、天台之を承けて云く「一切世間の治生産業は皆実相と相違背せず」等云云、智者とは世間の法より外に仏法を行ず、世間の治世の法を能く能く心へて候を智者とは申すなり
(御書全集P.1466)

私たちは、仏法者と言えども現実世界の中で生きています。仏法と世法が隔絶した世界ではなく『仏法は体のごとし世間はかげのごとし体曲がれば影ななめなり』(御書P.992)とのご金言のとおり、決して別々に存在するものではありません。

今回の拝読御書も通して言えば、仏法の眼で善悪を見極めながら世を治める法をよくよく心得た人こそが真の「智者」であると拝察することができます。そして、さらにもう一歩踏み込んで現代に当てて見れば、日蓮大聖人の仏法を根本にしている私たち一人ひとりが「智者」たり得るとも言えるでしょう。

何か特別な資格や出生や立場ではありません。ましてやどこかの組織や役職が大事でもありません。日蓮大聖人の仏法を根幹に、池田先生のご指導を胸に現実社会の中で我が桜梅桃李の花を咲かせ実践していくことが「智者」なのです。

また、現代において協力者である「賢王」は誰でしょうか。

今日の本来の主権在民のこの世の中において賢王とは民衆そのものだと考えて良いでしょう。もちろん歪んだ権力構造が現実的に存在しますが、それも民衆が賢くなることで正していくことが可能でもあります。そういう意味でも「賢王」とは民衆自身を指して差し支えないでしょう。

善悪の見極め

仏法は体のごとし世間はかげのごとし体曲がれば影ななめなり
(御書全集P.992)

とのご金言に照らしたとき、今この世界が直面している闇に包まれたかのような不安や閉塞感をどう考えるでしょうか。

現在、未曾有のコロナ禍にあります。感染症との戦いは人類の誕生とともに始まっていると考えれば避けては通れない歴史かもしれません。しかしながらどのように向き合うかというのは、その時々の人類の判断でもあります。

今回の拝読御書でも「皆が正しいと思っている行為」が一つの原因であると示されています。また、「世論を悪へ誘導する悪僧」も一つの原因であり「正体を見破り徹して戦い」抜くことを大聖人はご教示くださっています。

体が真っ直ぐであれば影は真っ直ぐであるはずです。

池田門下生として、この大聖人の御金言を拝し、「仏法の眼」で「善悪の見極め」をしていきたいと思います。


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8月の広布史 ★8月24日★

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■小説「人間革命」2巻 第5章「地涌」

■今日より明日へ №17
「8・24」記念大田・世田谷・杉並区合同支部長会(東京)
〝本物の一人〟よ出でよ

■今日より明日へ №38
「8・24」記念―第1回東京総会

――「聖教新聞創刊原点の日」――
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■小説「人間革命」4巻「怒清」
1950年(同25年)、戸田第2代会長(当時・理事長)の事業が苦境に陥る中、聖教新聞発刊の構想を、戸田会長と若きSGI会長が語り合った日が淵源。

――「壮年部の日」――
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■黄金柱の誉(創価学会壮年部指導集)
1976年(昭和51年)6月、副会長室会議で定められた。