令和2年 8月度 座談会御書 転重軽受法門

「地獄の苦しみぱっときえて」

日蓮大聖人の仏法は苦しんでいる人を励まし、苦しみから立ち上がらせる力があります。

この「地獄の苦しみぱっときえて」の御文に励まされて、苦しみの中にから立ち上がり、乗り越えた学会員は全国にたくさんいます。

今月は体験と併せての講義とさせていただきます。

母は末期癌で闘病中の病床で「地獄の苦しみぱっときえて」と息子である私に語りました。

全身に癌が転移しており呼吸する事も厳しい病勢です。
私は苦しい中で、母は楽になりたいとの願望から出た言葉だと思っていました。

母は亡くなる前の数日間、不思議と安らかになり「にっこり笑顔」で息を引き取りました。
私はこれが「地獄の苦しみぱっと消えて」なのだと感じました。

少し時間は戻ります。

私が少年の頃、家族は貧乏のドン底でした。
一生懸命働くも貧乏の宿業は深く、家族で旅行に行くことも、外食することもできませんでした。

旅行へ行きたい!美味しい物が食べたい!と言う私に、私の祈った功徳は皆、貴方に集まるから。
貴方が大人になった時には、海外へも自由自在に行ける境涯になるから、美味しい物も好きなだけ食べれるようになるからと大確信で何度も語るのです。
私は正直、夢物語だと話し半分に聞いていました。

時間を現在に戻します。
私は座談会でこの御書を講義する担当者になりました。
改めて、御書を拝読すると「地獄の苦しみぱっときえて」の御文の後に続く「人天・三乗・一乗の益をうる事の候」に目を奪われました。

何故なら、現在の私は海外に自由自在にいける環境であり、美味しい食事も好きなだけ食べれる。それ以上に金銭的にも時間的にも自由自在になっている。
これは十界論の「人界天界」の境涯は得られているではないかと。

それだけではなく、御書を学び御書講義をさせていただいている。これは「三乗の中の菩薩界」の境涯ではないかと。

そして何より池田先生の大切にされた会員さんに御書講義ができることは「一乗、即ち仏界」の境涯に近づいていると驚きました。

母が語っていた「地獄の苦しみぱっときえて」とはこのことだと分かり歓喜の涙が溢れました。

今、宿業の中で戦っている方もたくさんいます。
その苦しみに意味は必ずあります。
そして池田先生を心に思い浮かべて、御本尊に祈っていけば、「地獄の苦しみぱっときえて」の御書通りになります。
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転重軽受法門  御文

涅槃経に転重軽受と申す法門あり、先業(せんごう)の重き今生(こんじょう)につきずして未来に地獄の苦(く)を受くべきが今生にかかる重苦に値い候へば地獄の苦(くるし)みぱっときへて死に候へば人天・三乗・一乗の益(やく)をうる事の候

「」御書全集1000ページ 3行目~4行目

意訳

涅槃経に転重軽受という法門があります。
過去世でつくった宿業が重くて、現在の一生では消し尽くせず、生まれ変わっても地獄の苦しみを受けるはずですが、「今この時に」このような重い苦しみにあったので、「地獄の苦しみもぱっと消えて」、死んだのちには、人・天乗の利益、声聞・縁覚・菩薩の三乗の利益、そして一仏乗の利益であります成仏の功徳を得ることができるのです。