座談会御書「千日尼御前御返事(真実報恩経事)」2021年(令和3年)10月度

御書

千日尼御前御返事(真実報恩経事)
御書全集1310㌻15行目~17行目

〈本 文〉

此の経文は一切経に勝れたり地走る者の王たり師子王のごとし空飛ぶ者の王たり鷲のごとし、南無阿弥陀仏経等はきじのごとし兎のごとし鷲につかまれては涙をながし師子にせめられては腸わたをたつ

〈通 解〉

この法華経の経文は、一切の諸経よりももっとも優れ、地を走る者の王である師子王のごとく、空を飛ぶ者の王である鷲のごとくである。南無阿弥陀仏の経などは雉や兎のようなものである。鷲につかまれては涙をながし、師子に責められては腸を断つのである。

〈講 義〉

 本状が認められた弘安元年は、飢饉や疫病の流行により国土がひどく乱れた年でありました。
 相次ぐ自然災害や新型コロナウィルスの大流行など、現在の日本の社会様相も当時とよく似た状況にあると思います。

 そのような中で佐渡の門下である阿仏房が、御供養とともに妻である千日尼のお手紙を携え、海を渡り山を越えて身延の大聖人のもとに参詣しました。

飢饉や疫病に見舞われる中、高齢であったと思われる阿仏房が、遠く険しい道のりを乗り越えて大聖人のもとにはせ参じたその求道心と信仰の情熱に心が打たれます。

その際、御供養の御礼と、千日尼からの手紙への返状として認められたのが本状となります。

 本状冒頭で大聖人は、千日尼の手紙の内容を紹介されています。そこには、「女人は罪障が深く成仏できるだろうかと不安に思っていましたが、大聖人様からお伺いした法門に、法華経には女人成仏第一と説かれているとありましたので、今はそれを一切の頼みとして信心に励んでおります」(御書1309 趣意)と記されています。

 爾前権経では、女人や悪人、二乗は不成仏と説かれ、衆生の成仏には差別が設けられていました。千日尼も他経に説かれる「女人不成仏」を耳にしていたと思われ、女性の身として少なからず不安を抱いていたのではないでしょうか。

 大聖人は、「此の経文は一切経に勝れたり。地走る者の王たり師子王のごとし。空飛ぶ者の王たり鷲のごとし。」(御書1310)と、法華経を地上の王である師子王と、空の王である鷲にたとえられ、生命の実相を説き明かし、万人成仏を説き切った法華経こそが諸経の王であることを示し、その法華経の信心を貫く千日尼の成仏は疑いないことを断言されました。
 
 重ねて、「他の経において、女人は成仏できないと説かれているとしても、諸経の王である法華経には明確に女人成仏が説かれているので何も心配することはありません」(御書1311 趣意) と述べられ、健気な信心に励む婦人門下に対し温かい励ましを送られています。このような大聖人の激励に、千日尼はどれほど勇気づけられたことでしょうか。

 さらに大聖人は、「一代聖教の中には法華経第一、法華経の中には女人成仏第一なり」(御書1311)とされ、「自身がこの世に生を受け、会い難い仏法に巡り合うことができたのは父母のおかげであり、特に悲母の大恩を報じるために、女人成仏を明かした法華経の題目を一切の女人に唱えさせようとの願いを立てたのだ」(御書1311 趣意)と述べられています。女性門下を最大に大切にされ、希望と勇気をあたえられる大聖人の深いご慈愛が伝わってくるお言葉です。千日尼は、このような大聖人の慈愛と大確信の言葉に、いやまして信仰の炎を燃え上がらせていったことと思います。

 しかし、そのような大聖人の願いに反して、念仏者たちが日本国の一切の女人を誑かしたために、一向に念仏を唱えるようになってしまい、かえって法華経の行者である大聖人を迫害するようになってしまったと述べられています(御書1312 趣意)。

 ここで大聖人は、飢饉や疫病流行などの災害は、法華経の行者である大聖人を迫害したことによって諸天が怒り、謗法の者を治罰するために引き起こしたものであるとされ、災難の起こる仏法上の原因を明らかにしました(御書1313 趣意)。同じく弘安元年に認められた日女御前御返事には、「今日本国の疫病は総罰なり定めて聖人の国にあるをあだむか」(御書1248)とあり、疫病は末法の法華経の行者を迫害したことによる一国総罰の現証とされています。

 これらの御金言は現在にも通じ、自然災害や疫病の蔓延などの根本原因は、「日蓮を用いぬるともあしくうやまはば国亡ぶべし」(御書919)の御金言の通り、一見大聖人を敬っているように見えるものの、その実、ことごとく大聖人の御精神に違背した邪智、邪信の者が世にはびこっていることにあると思います。

 諸経の王たる法華経を正しく行ずる日蓮大聖人を迫害すれば、因果の理法の厳しき現証があらわれるのは自明の理であります。と同時に、大聖人の仏法は、「南無阿弥陀仏経等はきじのごとし、兎のごとし。鷲につかまれては涙をながし、師子にせめられては腸わたをたつ。」(御書1310)のごとく、あらゆる邪法邪義を打ち砕き、一切を変毒為薬していくことができる唯一無上の大法であります。

 一切を幸福の方へ、善の方へ、価値創造の方へ向けていけるのがこの信心です。いかなる困難があろうとも、私たちの正しい信心の実践によって、必ずや現実を大きく変革していくことができるのです。

 文永8年9月12日、大聖人は竜の口法難において発迹顕本され、末法の御本仏としての御境地を顕されました。

 旧暦の9月12日は現在の新暦では10月17日頃となるようです。

 この10月、私たちも大聖人に連なり、池田先生が示して下さった、「深く大きく境涯を開き、目の覚めるような自分自身と創価学会の発迹顕本」の道を共に歩んでいこうではありませんか。

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