【投書】今、歴史の転換点で問われること。
投書者:カナリア
自民党安全保障調査会が、「敵基地攻撃」を「反撃能力」に改称し、攻撃対象には「指揮統制機能等」を追加した。これに伴い、防衛費を5年以内にGDP比2%超(現在の約5兆円⇒10兆円に)にすることを決め、政府・自民党に実現を求めた。
プーチン率いるロシア軍の、非道なウクライナ侵略を契機として、確かに世界の他の国々でも、防衛費を増加させる動きが相次いでいる。そうでなくとも、世界の軍事費は最高額を更新し続けている。2021年、世界の軍事費上位10か国を見てみると、1位は米国で断トツの8010億ドル。2位は中国2930億ドル。日本は9位で541億ドル。
米国の軍事費は、1ドル125円で換算しても100兆円を超える。年間100兆円を軍事費に費やすとは、狂気の世界と言えまいか。また、自民党の提言通りGDP比2%にすれば、日本は計算上、世界第3位の軍事大国になる。
戦前・戦中の日本でも、言葉の言い換えは行われた。「退却」は「転進」になり、「全滅」は「玉砕」となり、「敗戦」は「終戦」になった。意図的な言葉変えは危険を孕んでいる。
2015年、平和憲法の精神を蔑ろにして、「集団的自衛権」を認める解釈改憲が行われてしまった。そして「敵基地攻撃能力」を保有するとは、「専守防衛」という「憲法の核心」をも破壊する暴挙なのではあるまいか。
時代的な本質を問うなら、人間を信じない「抑止力」という力の論理で、世界が滅びる方向に歩みを進めるのか?仏法・池田先生の平和主義、ヒューマニズムに基づく「人類の英知」を信ずる方向に進んでいけるのか? 世界は、正念場に差し掛かっているのではないか。
話は変わって、山口那津男、公明党代表が、秋に任期満了をもって13年間に及んだ代表職を辞するらしい。
後継には石井幹事長を指名している。あと2年で結党より60周年の公明党。「平和の党」の金看板を護るのか、それとも、戦争へと向かう「いつか来た道」を自民党と一緒に歩んでしまったという「汚名」を歴史に刻むのか?まさに存立危機状況に遭遇しているのである。
牧口初代会長は、「神札」を拒否し、「獄死」なされた。戸田先生はその仇を討たれようとされた。そして三代池田先生がその「平和精神」を世界に広げられた。
この難所にあって、各界に残された「池田門下生」たる弟子たちは、いかなる振舞をもって、「師恩」に報いるのであろうか?