【投書】3.11に思う その(1)

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投書者: 石楠花

東日本大震災から10年。

自分に何ができるか問い続けた10年だった。

震災直後に何度か東北を訪問し、2年間は年収の1割を寄付にあてた。聖教新聞に載った被災者の方々の名前を毎日ノートに書きだして題目を送った。

それぐらいしか、私にできることはなかった。

ほどなくして東北文化会館の建設が発表になり、本当にうれしかった。祈った。

2016年11月仙台出張の前日、会館落成を新聞で知った。出張の合間に一目会館を見たいと思い、住所を頼りに探したところ、なんと見事な世界一の会館が建っている!

広大な駐車場に大型バスが20台ぐらい止まっていたので、近くに観光地でもあるのかと思いつつ、外観を写真に撮って良いか創価班に聞いたら、快く敷地内に入れてくれた。

しかし、いくら何でも内部の撮影はダメだろうと思っていたのだが、何やら幹部らしき人たちに「もう勤行が始まります。早く入ってください!」と急かされた。

ちょうど落成記念勤行会が開始するところだったのだ。

「いや、私、全然関係ないんです。入場券もないし。あの、出張のついで….」「いいから、早く、もう始まるから」

ということで、入ってしまった…ちょうど、勤行開始の御鈴が鳴るところだった。

あの大型バスは東北全土から集まった代表2000名の同志が乗っていたのだ。正装した参加者の中で、私だけが念珠も経本も持っておらず、えらく気楽なファッション(普段はTPOを考えるのですよ)。

なぜ、私は今ここにいるのだろう。涙が溢れた。

今、こうして東北の皆様とともに新会館の落成を祝っている。

ああ、そうか、もしかしたら、あの人もこの人もお題目を送った人たちかもしれない。今まで心から新会館の建設を祈ってきたが、御本尊は今日ここに、私を連れてきてくれたのだ。本と末とは究竟するのだ。

涙はとめどなく溢れた。

東北の同志の喜びは爆発していた。山形の副県長は背広のポケットから笛を出し

「さあ、皆さん、一緒に花笠音頭を歌いましょう♪ 他県の方もどうぞご一緒に!」

歌の後、挨拶か何かあるのかと思ていたら、歌だけだった。指導めいた話はない。東京の幹部と全然違う。

終了後、会館の見学までさせて頂いたが、ここは花園かと思うほど、ロビーは祝いの花々で埋め尽くされ、良い香りに誘われてか蝶が入り込んできた。

あちこちで対話が始まっていたが、まだまだ苦境の中にいる会員を、全魂で励ます地域幹部の姿があった。

御自身もまだ大変だろうに、その声には力がこもっていた。

本物の創価学会がそこにはあった。