【投書】衆院、小選挙区比例並立制のくびきと今後
投書者:カナリア
1994年、日本の衆院選挙制度として、小選挙区比例並立制が導入されて以来、来たる10月27日の衆院選が、10回目の衆院選となる。政権交代が起こりやすい「選挙制度」との前触れだった。しかし、1999年に公明党が自民党と連立政権を組んでより、自公VS野党の構図となり、一時期の民主党政権を除き、自公優位の政治状況が続いてきた。
自公連立となる前の新進党時代は、自民VS野党(公明党含む)だったのに、全国で一選挙区当たり2~3万票の集票力を持つ公明党が自民党と連立を組むようになったのだから、状況は一挙に変わってしまったのである。
全国289の小選挙区において、自公は候補者を絞り、野党は何人もの候補者を乱立させる。
一人しか当選できない小選挙区に於いて、自公が「漁夫の利」を得ることは、小学生でもわかる。当初期待されていた「政権交代」は、むしろ起きにくい閉塞感に満ちた政治情勢になってしまっていた。
二大政党制を前提にする選挙制度は、YES/NOで済まない多様性を重んずる日本には向いていないのではないか。一票の格差を無くした上での「中選挙区制」に戻すか、完全な比例制にした方が良いのではないかと個人的には思っている。
それはさておき、今回も「裏金議員」の選挙区でさえ、野党は候補者を一本化出来ず、多くの選挙区で自公を有利にさせてしまっている。野党をまとめきれない、野党第一党の立憲民主党の責任は免れない。
とはいえ流石に今回、有権者は、自民党単独の過半数(233)を許さないのではないか。反日の教義を持つ旧統一教会との癒着。そして約束を破り政党助成金を受けながら企業団体献金を禁止しようとしない自民党。さらに法律違反の「裏金」に染まる自民候補に対し、怒りの一票を投ずる有権者は多いと思う。
一方、自民党が公認しない「裏金議員」にまで党利党略で推薦を出す公明党。「結党の精神」は一体どこに行ってしまったのだろう?
20数年間に及ぶ爛れた「自公連立」によって、自民党は地力を失っている。公明党の応援がなければ自力で当選できない議員が増えている。他方、公明党も理念を喪失し、人材は枯渇、勢力は弱まっている。野党が候補を乱立させ不利な状況を作っているにもかかわらず、「自公」合わせても「敗北」となると、日本の政治状況は一挙に流動化することになる。
野党の候補乱立で、命拾いする自民党か。はたまたそれでも落選する自公候補か。いずれにしても日本のために、与野党伯仲の緊張状態を私は望みたい。