座談会御書「寂日房御書」2021年(令和3年)11月度

御書

御書全集902㌻1行目~3行目

〈本 文〉

夫れ人身をうくる事はまれなるなり、已にまれなる人身をうけたり又あひがたきは仏法是も又あへり、同じ仏法の中にも法華経の題目にあひたてまつる結句題目の行者となれり、まことにまことに過去十万億の諸仏を供養する者なり

〈講 義〉

 今月の座談会御書の「寂日房御書」については、池田先生の「希望の経典「御書」に学ぶ3巻」に詳しい講義があり、それ以上のものはありませんので、是非ご覧ください。
 以下、私なりに感じた所をお伝えしたいと思います。
 人間として生まれたことは、それ自体が価値のあることです。
 そして、なかなか出会えない仏法に触れ、その中でも法華経の題目、つまり大聖人の仏法に巡り合ったことは、それこそ、過去世に十万億の諸仏を供養した功徳にも譬えられるほどの大福運、大果報の人であることを示している、
というものです。
 今、この信仰をしていること自体が、福運です。
 法華経の題目に巡り合うということは、仏法の中の、真の仏法に出会えたということです。
 そして、この御書では、最初に、会い難き仏法に会えたことが、すでに過去世からの福運であることを述べられ、続いて大聖人が日本第一の法華経の行者であるとされ、さらに、ご自身の「日蓮」というお名前について、「自解仏乗とも云いつべし」との大確信のご宣言をされる一方、法華経法師品の「斯人行世間(しにんぎょうせけん)」の文を挙げられて、上行菩薩が末法の始めに出現して、南無妙法蓮華経の5字の光明により、無明煩悩の闇を照らすことだと言われています。
 法師品の文は、「斯仏」でなはく、「斯人」と言われています。斯(こ)の人とされていることが大切だと思います。私こそ仏ですよと自称しながら民衆の苦悩から離れ上から鼓舞するのではなく、末法の凡夫として民衆の中にあって同苦し、寄り添うことの尊貴さを示されているものと拝します。
 大聖人は、ご自身が仏であるとは一言も言われず、それどころか、上行菩薩との関係についても、「上行菩薩の御使」と表現されています。
 そして大聖人の「弟子檀那とならん人人は、宿縁深しと思うて、日蓮と同じく、法華経を弘むべきなり」とも言われています。
 この大聖人の御精神を継いで、実際に世界広布を行ったのは、間違いなく池田先生です。今こそ、先生直結の信心を貫いて行きたいと決意しているところです。
 折角の機会なので、寂日房御書そのものについて、少し見てみたいと思います。
 寂日房御書は、その全体の内容から、御本尊様を頂かれる房州(千葉県)のご婦人のところへ、お使いとして派遣される寂日房に対し、お伝えすべき内容を書かれたものと考えられてきました。
 しかし、女性あてと考えられた理由と思われる「をとこのはだへをかくさざる女あるべしや」と、「よめのしうとめになる事候ぞ」という部分、女性が男性に服を着せるのを手伝うことと、お嫁さんという教えられ仕える側が、姑という、教え、仕えられる側になるという、一般的な例えをもって女性宛と決めつけることは、少し強引なのではないかとも思います。とはいえ、男性宛であれば、もう少し違う例を引かれるとも感じますので、女性宛ということはそれで良いとすれば、物凄い経済力のある信仰の厚い女性信徒が、遠く離れたところにもいたことになると思います。
 また、寂日房御書は、いわゆる御真筆は残っていませんし、日興上人などの、大聖人の直弟子による写本も残っていません。
 大聖人が亡くなられてから、約300年後にまとめられた御書の中に登場することが、御書全集の一番最初にある目録の8ページの下から3段目の「他受」(=他受用御書=1580年までに成立)という表記から分かります。
 ただし、内容的におかしな部分がないので、後世に作られた偽書だと積極的に言う人もいないみたいです。ということで、御書の真偽について、今回は、めでたし、めでたし、ということにしたいと思います。
 次に、寂日房ですが、大聖人の弟子とされる寂日房という方は、千葉県出身の寂日房日家と、山梨県出身の寂日房日華の二人がいたとされます。
御書全集の一番後ろの弟子檀那列伝でも、4ページと19ページに、二人の寂日房が出てきます。
 11月に発売される新しい御書全集でどうなるのか、気になる箇所の一つです。
そして、この御書は、千葉県のご婦人のもとに派遣される予定の寂日房あてということから、千葉県出身の寂日房日家に与えられたものと考えられてきました。
ですが、このあと弘安7年になって、日興上人が、美作房御返事の中に、寂日房を千葉県に派遣しようと思っているけどできてない、というようなことが書かれてあって、その寂日房は、山梨県出身の寂日房日華に違いないとされる、ということで、話がややこしくなってきます。
 寂日房二人説は、江戸時代に大聖人と弟子の来歴をまとめた「本化別頭仏祖統紀」という本(1731年)によるようですが、山梨県出身の寂日房日華がいたことは、様々に実証されますが、千葉県出身の「寂日房」がいたことは、この本以上に遡れるかは、よく分かりません。
 したがって、私は、寂日房という人は、山梨県出身の寂日房日華という人がいるだけで、別に日家という人がいたとして、その「家」の字と「華」の字の音がともに「ケ」であり、読み方が同じであったことから混同され、日家も寂日房と呼ばれるようになったのではないかと疑っています。
 ということで、これまでほとんど学んだことのない、寂日房日華に関連して、もう少し見て行きたいと思います。
 何年か前に御観念文から日目上人が削除されましたが、日興上人が大聖人に倣(なら)って定められた6人のお弟子さんの一番目が日目上人で二番目が寂日房日華です。
 この寂日房日華が、弘安3年5月8日に大聖人から頂かれた御本尊様に、日興上人ご自身が、日興第一の弟子と書き込まれていますので、本当にすごい人だったことが分かると思います。
 また、寂日房日華が大聖人から頂かれた御本尊様は、京都の某寺院で一般公開されていますが、その翌日の弘安3年5月9日に日禅が頂かれた御本尊様と、なぜか、半年前の弘安2年10月12日とされる本門戒壇の大御本尊の3つがとっても良く似ています。
御本尊様なんだから、そっくりで当たり前だろうと思われるかも知れませんが、実は大聖人が直接書かれた御本尊様で現存しているものは百数十体あるのですが、あまりにも様々で、むしろ驚くほどに、形も書かれている内容も違います。
 その中から、弘安2年10月12日付けの本門戒壇の大御本尊というのが、実は弘安3年5月9日の日禅授与の御本尊様をベースに後世に作られたものだということを発見して、嬉しそうに周りの人に喋ったのが日顕という人で、そのことを実証したのが、金原明彦という人の「日蓮と本尊伝承」という本です。先程、アマゾンで中古本の値段を見ましたが、6万円と、9万9千円で、売りに出ていました。
 この本が学会首脳部に与えた衝撃はあまりにも大きく、その影響は結局、2014年の会則の教義事項の改訂という形で、学会創立以来、大聖人の出世の本懐としていた本門戒壇の大御本尊を受持の対象としない、ということに繋がりました。
 しかし、これが何を意味するのか、昔々出版された「折伏教典」という知る人ぞ知る有名な本があるのですが、そこに宗教の正邪の見分け方として、本尊を変更していないか、というのがありますが、自ら設けていたその基準から言えば、かなり厳しいことになりそうです。
 ですが、真実に対する一つの対応として、やむを得なかったのかなぁと思っています。
 とは言うものの、書写した本人である日寛上人ご自身が、本門戒壇の大御本尊を写していると言われている御本尊様を本尊として拝していることについて、もう少し丁寧な説明が欲しいと思うのは、私だけでしょうか。
 創価新報に「御本尊」という連載がされていますので、詳しい説明があるものと期待しています。
 少し話が飛躍しましたが、今回はここまでにしたいと思います。最後までお読み頂きありがとうございました。

御書講義 動画サイト

https://www.youtube.com/watch?v=2QH1ZVagf1Q

御書研鑽しよう会

創価の森

11月度座談会御書履歴

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11月の広布史

――「創価学会創立記念日」――
11月18日

『創価教育学体系』の発刊
初代会長牧口先生、殉教の日

■小説 人間革命 第1巻「一人立つ」

■小説 人間革命 第5巻「烈日」

■小説 人間革命 第12巻「新・黎明「憂愁」

■評伝・牧口常三郎・創価教育の源流・第一部

■今日より明日へ№2 「創立の志」を広布の炎と

■創価のルネサンス 11・18「創立記念日」の集い