「学会の崩壊はここから始まった!」
悪書「教学要綱」の発刊で表面化した創価学会の変節と「師敵対」は、池田先生が御倒れになり、表舞台からお姿を消された直後より策謀が始まっていた。一部最高幹部によって秘密裏に進められたその邪悪な計画は、端的に言えば「創価学会乗っ取り計画」である。当時、心ある教学部スタッフの抵抗によって計画の一部は頓挫したが、その後の粛清人事で一掃され、今日まで着々と進められてきたのである。ここに紹介する資料は、その全貌が記された当時の内部告発文書である。
【2013/10/13】総本部の御本尊と日蓮世界宗創価学会会憲の問題点
1. 御本尊の教義変更と会憲制定の計画
① いわゆる「戒壇の大御本尊」から完全に決別し、総本部に安置される「学会常住御本尊」をもって創価学会の新しい「大御本尊」とする、教義上の大転換の計画が進んでおります。その大転換が、総本部完成という今の時に合わせ、「池田先生の強い意向」として発表されるのです。総本部である「広宣流布大誓堂」に設置される池田先生の碑文にも「学会常住御本尊」が「大御本尊」であると明記されています。
② さらに、総本部の完成とともに世界宗教としての体制も完成させるという構想のもと、全世界の創価学会の憲法である「日蓮世界宗創価学会会憲(世界創価学会会憲)」が制定される運びとなります。「会憲」には、「学会常住大御本尊」を根本の大本尊、「広宣流布大誓堂」を根本道場とする旨が謳われています。また、世界創価学会会長には日本創価学会会長が就任するという規定が明文化され、日本創価学会会長が、教義・人事・財政・活動方針の全てにおいて世界をコントロールする体制が打ち立てられることになります。
2. 計画が孕む問題性
この一連の計画を主導しているのは、秋谷議長、原田会長、谷川事務総長、八尋弁護士の4人です。計画は、世界宗教としての体制の完成という大義名分とは裏腹に、世界宗教としての体制を崩壊させる危険性をはらんでいます。日本の最高幹部からも、「信仰の根本の問題なのだから、もっと皆の意見を聞いて、もっと時間をかけて、慎重に進めるべきだ」と心配の声が上がっています。にもかかわらず、秋谷、原田、谷川、八尋の4人は、「池田先生の強い意向」と「教義の裁定権は会長にあるという会則」を盾に、独断専行に近い状態で強行突破を企てています。このままの計画が実現すれば、
① 国内外の会員の信仰が根本から動揺し、組織も混乱し、日本と各国のSGIとの関係も悪化し、結果として創価学会は衰退を余儀なくされます。
② また、全てが「池田先生の強い意向」として行われるため、池田先生の歴史と業績が致命的に汚され、一切の混乱の責めが池田先生一人に集中することは確実です。
3. 問題の経過
① 一連の計画は、秋谷、八尋を中心に、2、3年前から秘密裏に進められてきたよ
うですが、詳細は不明です。② 本年春には、SGI各国の首脳を集めて、「会憲」の概要が説明されています。
③ 御本尊の教義については、総本部の慶祝委員会(谷川委員長)のもと、9月に専門委員会が発足しました。メンバーは秋谷、谷川、八尋、金沢、森田康夫に、教学部から遠藤、森中、宮地が加わりました。専門委員会では、御本尊の意義について議論を深めるというのは見せかけで、内々で既に決まっている方針を教学部に承認させ、その方針に沿った説明文を作らせるための場に過ぎませんでした。教学部側は、いわゆる「戒壇の大御本尊」を巡る議論については、ある時期に決着をつけなければならないのは確かだが、学会が過去何十年にも渡って尊重してきた経緯もあるので、教義の根幹が混乱したり、会員の信仰が動揺したりしないよう、慎重の上にも慎重を期すべきだと訴えました。しかし、こうした訴えは、にべもなく撥ねのけられ、「付いてこれない会員が多少いてもやむを得ない。池田先生のいらっしゃる今やるしかないんだ」と、既定の方針を受け入れるよう強要されました。
④ 教学部が原田会長に窮状を訴えたところ、原田会長からは「全ては池田先生に御指導を頂きながら進めていることだ」と逆に叱責を受け、秋谷議長らの考えに従うよう指導されました。その後、教学部として長谷川本部長と大山第一庶務室長に確認したところ、「全ては池田先生に御指導を頂きながら進めている」という原田会長の発言が事実と全く隔たっていることが判明しました。その後も専門委員会が開かれるたびに、秋谷、谷川の方針に従うよう強要を受けましたが、教学部は「池田先生を苦しませたり、会員を悩ませたりすることはできない」と自らの主張を譲りませんでした。
⑤ 9月20日には、日本の執行部、SGIの首脳、教学部などによる会議が開かれました。そこでも、原田会長の方針に多くの出席者から強い懸念が示され、原田会長は、事実上、その方針を撤回せざるを得なくなりました。ところが、9月26日に世界の主要国の中心者を招集した会議で、原田会長は、一度撤回した方針を再度打ち出しました。さらに、日本創価学会会長が世界創価学会をコントロールすることを明文化した会憲を発表し、11月の来日の際に賛同の署名をするように求めたのです。こうした説明も、全ては池田先生の強い意向であるかのような雰囲気で行われているため、各国の中心者たちも、ほとんど異議を唱えることはできませんでした。それでも「創価学会は日本の宗教である」として弾圧を受けてきた台湾の林剣理事長から、日本中心の考えが明文化されていることに率直な不安が表明されました。各国の中心者たちは、日本の幹部の前では遠慮していても、「このようなことは、国に帰って説明できない」と一様に困惑し、苦悩していました。
⑥ その後は、教学部が主張を全く曲げないため、4人の推進派は大幅に後退を余儀なくされ、10月3日の中央会議で、原田会長は再度方針を撤回する形となりました。それでも、方面長たちから、会長の説明に疑問が出され、答えられなくなった原田会長は、しばしば立ち往生する有様でした。
⑦ にもかかわらず、中央会議の翌日、教学部に対して、既定の方針を貫くという原田会長の指示が谷川総長経由で伝えられました。10月末に再度、中央会議の意義を込めた方面長協議会を開き、師範会議、総務会、最高指導会議、各国SGI首脳会議を通じて、11月8日に全世界に向けて発表する算段のようです。
⑧ しかし、会憲の条文の不備も次々と明らかになり、当初の計画はほとんど破綻状態です。それでも、秋谷議長、原田会長の意志は変わらず、事態は混迷の一途を辿っております。
4. 計画がもたらす影響
以下、御本尊に関する教義変更、及び会憲が実現した場合の問題点と影響を列挙しますが、何より重大なのは、池田先生に御迷惑が掛かることと、国内外の会員が苦しむこと、この2点です。
4-1.御本尊の教義変更がもたらす影響
① まず教義変更についてですが、総本部に安置される「学会常住御本尊」は日昇法主による「戒壇の大御本尊」の書写、国内外の会員が日夜拝している御形木御本尊は日寛上人による「戒壇の大御本尊」の書写です。本質次元においては、「戒壇の大御本尊」も、書写された御本尊も、南無妙法蓮華経という同じ法体が顕現したものであり、同質・平等と言えます。しかし、書写された御本尊には、「之を書写し奉る」と明記されており、「戒壇の大御本尊」を必要以上に否定すれば、書写された御本尊自体の存在根拠が不安定化しかねません。会員が日夜拝している御本尊の根拠が揺らげば、会員の信仰が動揺してしまいます。大聖人の「出世の本懐」についても、専門委員会の場で谷川総長は「『出世の本懐』の意味だって変えればいいんだ。独立した教団なんだから、変えてもいいんだし、変えられるんだ。南無妙法蓮華経の御本尊を顕したことにすればいいんじゃないか」等と発言しています。教義は、一度変えたら後戻りはできません。変えるなら、完全な実証と理論の裏付けがなければなりません。失敗すれば、万代に禍根を残します。しかし現時点で、十分な教学的準備はなされていません。
② 続いて、合議の体制の崩壊の可能性についてです。全学会にとって最重要の課題でありながら、正常な意志決定の手続きが全く踏まれていません。推進派は、他の執行部に対し話し合いを拒絶し、独断専行で事を進めています。また、「全ては池田先生の強い意向である」と説明する一方で、池田先生に対して当然するべき御報告を全くしていません。結果として、池田先生を利用して、自分たちの方針を押し通そうする形になっているのです。一度、こうした意思決定が行われれば、合議の体制が崩壊してしまいます。
③ さらに、会員の御本尊に対する信仰の動揺についてです。御本尊は、文字通り「根本尊敬の対象」であるゆえ、御本尊の教義が揺らげば、会員の信仰の土台が揺らぎます。「今まで信じていたものは間違っていた。やってきたことにも意味がなかった」と、疑問を引き起こすことも必至です。会員の教義理解の度合いも様々なレベルがありますので、必ずしも全ての会員が教義の変更を受け入れられるとは限りません。その結果、御本尊を巡る不毛な論争が沸き起こり、組織は分断され、場合によっては分派も起きかねません。「黄金の3年間」が「争乱の3年間」になってしまいます。八尋弁護士は、周囲の人に「多少の退転はやむを得ない。9割は付いてこれる」という趣旨の発言もしています。谷川総長も「多少、血が流れるのはやむを得ない」と明言しています。しかし、会員に無理なく理解させていくための準備は全くなされていません。
④ 最後に宗門からの攻撃についてです。協議の拙速な変更は、学会攻撃の格好の口実を宗門に与えてしまいます。教学部が懸念しているように、ある程度の道筋が見えているとはいえ、完全完璧な実証と理論の裏付けがあるとは言えない実情があります。学会は、これまで、日顕の「戒壇の大御本尊」否定発言や正本堂破壊を大謗法として破折してきました。そうした論拠も自ら崩してしまうことになります。第一線の会員は、坊主や法華講などから、ここぞとばかり攻撃されると予想されます。宗門事件それ自体が、「日蓮大聖人法門を厳格に護る学会を、堕落・逸脱した宗門が破門した」という図式ではなく、「教義を変えた学会が、教義を護る宗門から破門された」という図式に変わってしまう可能性さえあります。
4-2.会憲制定がもたらす影響
① 会憲には、上記の御本尊に関する教義変更が明記されています。「学会常住御本尊」を根本の大本尊、「広宣流布大聖堂」を根本道場と位置づけているのです。
② 会憲にはそれ以外にも多くの問題を孕んでいます。例えば、「会長」の条文には「(世界創価学会)会長は、日本『創価学会』の会長が就任する」とあります。日本に圧倒的な経験の蓄積があるので、日本主導で世界広宣流布を推進することは、実際上のSGIの組織運営としては何ら問題はありません。海外組織の中心者たちも、それで十分納得しています。ただ難しいのは、それが「明文化」された場合です。例えば、日本の副会長に女性は1人もいませんが、会則には「女性を副会長にしない」とは定められていません。女子職員は結婚すれば退職することになっていますが、雇用契約には「結婚したら辞める」とは定められていません。これらは明文化されない「不文律」であり「慣行」であり、「実際上の判断」です。もし、これを「明文化」すれば、「男女差別」の団体として社会的な糾弾の対象になってしまいます。「日蓮世界宗」は「世界宗教」なので、その「世界性」「普遍性」「平等性」が問われます。この条文を読んだ海外の宗教学・仏教学の研究者から、「世界の会長を日本の会長が努めるという条文は、なぜあるのか。仏教の平等の精神に悖るのではないか」と疑問が呈された場合、全く答えようがありません。日本の侵略戦争の犠牲になった国々から、日本優越主義と受け取られることも懸念されます。特に韓国や台湾では、「日本の宗教である」ことが弾圧の理由になっています。日韓関係、日中関係も悪化の一途を辿っておりますので、更に事態が悪化した場合、再び弾圧や迫害が起きないとも限りません。
③ 会憲には、日本創価学会会長(=世界創価学会会長)の権力を制限する規定は一つも定められていません。池田先生がいらっしゃる限り、それでも何の問題もありません。今の「創価学会会則」でも、日本の会長の権力を制限したり、会長を罷免したりする規定はありませんが、池田先生が上から厳しく指導されているので、実質的に権力が制限されているのと同じ状態です。しかし、近い将来を考えれば、全世界の教義・人事・財政・活動方針といった重要事項について一人の人間が全権を握れる体制は極めて危険と考えられます。700年前の「日興遺誡置文」にさえ「時の貫首為りと雖も仏法に相違して己義を構えば之を用う可からず事」「衆議為りと雖も仏法に相違有らば貫首之を摧く可き事」と、「貫首」と「大衆」の双方の権力を抑制する規定が存在しています。各国SGIの中心者たちは、会憲の反民主的な内実に不安と恐怖を露にしています。
5. 池田先生に攻撃が向かう可能性
① 上記の全ては「池田先生の強い意向」として世界に発表されます。教義の不安定化も、会員の信仰の動揺も、組織の混乱も、全て池田先生お一人が責任を負う形となり、池田先生が集中攻撃を受ける構図となっているのです。
② 池田先生の歴史と業績が否定されかねません。初代、第2代の教えを忠実に継承したことも、小樽問答で身延派を打ち破ったことも、正本堂を造ったことも、全ての意味が否定される可能性があります。
③ 池田先生の多くの著作がそのままでは使用できなくなります。これから出される著作は直せても、過去に遡って、全ての著作を改訂することは不可能です。結果として、池田先生の自語相違が歴史に刻まれてしまいます。
6. 計画再考の必要
拙速に事を進めることのプラスよりも、圧倒的にマイナスが大きいことは明らかです。当初の目的であるはずの「世界宗教の体制の確立」が「世界宗教の体制の崩壊」につながりかねません。
① 御本尊については、どのような方針を取るにしても、会員の機根を整えて、慎重の上にも慎重に進めるべきです。
② 会憲については、世界広布の経験もない日本の弁護士が集まって机上の空論をこしらえるものではなく、世界広布の最前線で苦労されているリーダーの意見に謙虚に耳を傾けて、21世紀という人権と民主の時代に相応しい内容を目指すべきです。
③ 世界広宣流布の未来を見据えて、「会員のため」「池田先生のため」という原点に関係者全員が立ち返り、現在進行している計画を再考していく必要があると切に望む次第です。
以上