東京新聞の「時代を読む」というコラムに、専修大学教授の山田健
太氏が興味深い事を書かれていた。以下、要旨を引用させていただ
き自分の感想を述べてみたい。
時の政権が自らを守るための典型的な法制度は①緊急事態法②秘密保護法③名誉棄損の三つだという。ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにした時、プーチンが2000年に大統領になってから、独裁体制を作り上げていった経緯もよく見ておかねばならないと思う。
また、日本の戦前の歴史を振り返ってみると、治安維持法につながる集会条例、軍機保護法、讒謗律が制定され、戦時体制が築かれていったことに思い当たる。
そして今はどうか?2012年の暮れに第二次安倍内閣が誕生してから、まず2013年には特定秘密保護法が制定されている。そして2015年、(一部)集団的自衛権を認める「安保法制」が制定され、2017年には「テロ等準備罪」の名のもと、組織的な犯罪の共謀を取り締まるための「共謀罪」が制定されている。
さらに今国会では、ネット上の誹謗中傷をなくすためとの名目で、侮蔑罪厳罰化法案が5月19日、自民・公明・維新などの賛成によって衆院を通過している。この法律が成立することによって、「公人=為政者」への自由な批判が、抑制されるのではないかと懸念されている。
緊急事態法に関しては、外国からの侵略やテロ、大規模災害を想定した際、行政府が一時的に立法府の役割を果たすと言うものだが、自民党の改憲4項目に入っており、維新・国民民主党なども推進するスタンスを見せている。
山田教授は、国際的に「批判の自由」を拡大させている潮流に反して、日本では「侮蔑罪厳罰化」や「緊急事態法」など新たな法規定を設定することに、政治家もメディアも含め、社会全体が「ためらい」を持っていない事を危惧されている。
「歴史は繰り返す」と言われるが、悪しき歴史には終止符を打たねばならない。
明治維新の1868年から1945年の終戦まで77年。本年20
22年はそこから77年。まさに大きな節目なのである。為政者に
自由にモノが言えない時代を作り出してはいけない。
来月行われる参院選は、日本の進路にとって、象徴的な選挙になるのかも知れない。