【投書】先生の詩「道」

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投書者: 石楠花

一本の道がある
この道こそ僕が愛し決めた道だ
この道を歩くとき 僕の顔には希望と微笑が湧く
僕は絶対にこの道から逃げない

先生の詩「道」である。

難しい言葉は一つもなく、簡潔なのに高い精神性を感じる詩である。

私には、幼い頃から天才と呼ばれてきたピアニストの友人がいる。彼が20歳の誕生日を迎えた時、この詩を彼の母語と英語の両方に翻訳して送った。

クラシックの世界は熾烈である。

ピアノではショパン、チャイコフスキー、エリザベートが世界の三大コンクール。彼はこれまでに何度も史上最年少優勝という快挙を果たし、先月エリザベート国際ピアノコンクールに出場した。

このようなコンクールは、まずビデオ審査で数千人の中から70~80名が選ばれる。次に、一次、二次、三次、最終選考と進み、最終選考に残る、つまりファイナリストになるだけでも大変なことで、それは将来が約束されるものだ。

ところが優勝候補と目されながら、一次で敗退してしまったのだ。

この結果に私は少なからず驚いた。彼が一次で敗退…信じられなかった。どんな気持ちでいるだろうか、どういう言葉をかけてあげたらいいのだろうかと心配していたが、彼は何とYouTubeの自分のチャンネルに敗退した一次の演奏を公開したのだ。

そしてそこには、こんな言葉が書かれていた。

「すでに発表されているように、僕は一次審査に通過しませんでした。日ごろ、僕の音楽を聴いて下さる方、貴重な時間を割いてコンクールをオンラインで見て下さった方々に、心から御礼申し上げます。この結果を謙虚に受け止め、次への進歩につなげていきます。そしてもし、音楽で社会に貢献できたら本当に幸せです。皆様、もう一度御礼申し上げます。本当に、本当にわ有難うございました」

まだ21歳である。悔しい、恥ずかしい、みっともないという気持もあっただろう。高いプライドもある。しかし、それを感謝と決意に変えたのである。その勇気と強さに拍手を送りたい。

彼を支えているものは何か。あの「道」である。

母語と英語と両方で暗記しているそうだ。「この詩は僕に勇気を与えてくれます。僕はこの詩を忘れたことはありません。この詩がある限り、僕は音楽への情熱を失うことはありません。逃げたり、止めたりしません」と書いてきてくれた。

秋にはショパンコンクールがある。がんばれ!